I find.

浮かんだ言葉を綴ります。

分けあえないもの。

 分けあえないもの それは 悲しみ
 泉のほとりに居るわたしは 
 沈みきってしまった あなたの 漂う姿は見えるけれど
 その深さまで 手が届かない
 あなたの悲しみの深さが わたしの想像を超えている
 両手いっぱいに 悲しみを抱きしめて
 あなたもわたしも 泉に底に落ちていく


 そんなわたしたちに 分けあえるもの 時間そして空間
 様々な想いを交錯させながら ある一点で時に交わる
 今日という日に この場所で 向かい合う
 感情のすれ違いに 困惑してしまうけれど
 でも 交差したこの一瞬に 笑顔を贈ろう


 あなたの悲しみの深さは わからない
 わたしの悲しみの深さも わからないでしょう
 でも 悲しみが 在ることだけは ちゃんと わかっている
 あなたが 悲しみに暮れていることも ちゃんと 知っている
 あなたの手を引っ張る力など とてもない情けないわたしだけれど
 でも 待っている
 いつまででも 待っている
 あなたが 泉の淵に手を掛ける瞬間を
 きっと あなたなら 戻ってくることを
 信じて 待っているのです

空が逝く。

 空が逝く


 さんざと降りしきる白銀の光を
 すうっと隠して
 
 赤や橙 群青に紫黒のグラデーション
 名残惜しそうに
 神々たちが気ままに描き散らす


 そうして 
 でも
 つるりと逝く


 一日の終わりが
 日めくりカレンダーのように
 さっと棄て去られるものではなく
 もう再び 未来に訪れることのない
 たった一つの日であると
 知る者だけが 知るように
 一言も発せず ひっそりと
 天空いっぱいに 今日という日を追憶する

少し 忘れて。

少し 忘れてみましょうか
慌ただしく巡る日々のことを
ぼんやり不明瞭な明日のことを
もう起きてしまった昨日ことを
そして、大切なあの人のことを


思う気持ちが
わたしを追い立ててゆく
わたしの足を掴む黒い手は
わたしの黒い手である
天地を逆転すれば
今のわたしはわたしの影をなるだろう
それ程にも脆いわたしの姿
ある瞬間 全く消えてしまいかねないというのに
この手に光がある
この光がやはり影を生む
この黒い手から逃れることはない
両手にこの光を守りつつ
闇を引きづり
明日を恋う


影を失くすには
光もなくさなくてはいけない
そんな 
どうにもならない理がある


だから
たったひと時
忘れてみましょうか
影の無い とびきりに白い夢でも見てみましょうか


だって
そうでもないと
とても生きていけそうにないのだから