I find.

浮かんだ言葉を綴ります。

帰りたいと。

帰りたいと思うのに
それはいったいどこなのか


見たことも行ったこともない場所に
懐かしさを越えて欲するもの
それは郷愁というものなのか
この身体のどこかに埋め込まれた記憶
経験や環境や知識が及ばない
遥か遥か奥底に漂うもの
幾年の世代を経てなお
脈々と波打つ鼓動
ふとした時に浮かび上がっては
一時の迷いのように消えていく


新緑にこぼれる光の粒 山笑う
海原に爽やかに映る空 波踊る
黄金の稲穂に渡る風  日沈む
凍てつく地に立つ木々 星冴える


わたしたちの預かり知らぬ
その恐ろしくも慈愛に満つる風景が
あの頃のわたしが見たもの


頭でも心でもそんなものではなくて
わたしの無意識がそれを憶えている
この身ひとつで大地に立ち
風に向かい
未知の空を望む
踏みしめる地は柔らかく
次の一歩をいざなう


くっきりと分けられたわたしは
虚空を眺め
瞬間的に時に迷い込む